■行ってきました

イブネ・クラシ ササの調査X

20代のH.君・30代のMi.君が参加してくれることになった。このような若いバリバリの会員がササ調査に加わることは大変嬉しい。紅一点のMa.さんの参加もありSさんと5人のメンバーである。

1.伊勢谷小屋駐車場(¥500)
秋は日没が速い。前回10月2日はスタートがやや遅く杉峠経由したこともあり時間切れでイブネで引き返した。今回は会事務所に泊まり伊勢谷小屋駐車場を6:15のスタートとした。
2.コクイ谷出合を渡渉するMi.君
天気予報は晴れと報じていたが今にも降ってきそうな空模様だ。根ノ平峠から見たイブネ・クラシは山頂部にガスが掛かっていた。昨夜の雨で上水晶谷や神崎川の増水が心配されたが平水でヤレヤレであった。
3.上路の分岐にてMa.さん
御池谷を渡り登って行き小峠への路を右に分ける。数本の小さな尾根の末端を巻くようにして進むと緩やかに谷に下るようになる。ここが上路の分岐になっているが踏跡も無い。前回下山時ここを見過ごさないために赤布を付けた。今回は2本目の谷から登ることにしてやし過ごす。
4.イブネ南端のササ
2本目の谷の左岸に赤布をつけてここから登る。谷を渡るのは杉峠への路だ。路はすぐ無くなるが適当に登ると上路に出る。この谷は佐目峠方向に向かっている。一旦右岸に上がりすぐ谷に降りると左に洞穴が2つある。右岸に上がり踏跡らしきところを歩く。3本ほど小さな沢を跨いで登って行くと佐目峠に近い尾根上に出る。ササ枯れと枯れ木の尾根を登るとイブネの一角だ。枯れて芽が出たササの葉の先端が何かに食い千切られたようになったものがある。しかしこの数は少ない。シカが食べたにしては広がりが無い。ササの頭だけ出ている残雪期に調べたい。
5.クラシ調査地点にてササの本数調べる本日のメンバー
さいわいイブネ・クラシのガスは切れてきた。今日はクラシから観察したい。見晴らしが利き御在所山・鎌ヶ岳・釈迦ヶ岳や北には紅葉が始まりかけた谷筋を隔て銚子ヶ口方向が見通せる。イブネ・イブネ北端からクラシ山頂に行き調査地点に戻る。土壌を採取し1uの本数を調べると7月31日時点より4本増えていた。新たに新芽が出たのだろう。しかし7月のような勢いのあるものは無い。
6.クラシ調査地点のササの根茎
7月に掘り出して埋め戻したササの新芽をもう少し調べてみることにした。前回の新芽の根元を掘ると根茎の節から出ていた。節からは多数の根が出ている。この根茎を一本すべて掘り出せないかとピッケルを使ったが縦横無尽に走っている他の根茎を切ることになる。切ればそれに付いている新芽はすべて枯れるだろう。小さなスコップと手で一部を掘り出した。新芽の付いた細い根茎の節にはこれから地上の出てくるのだろう白い小さな芽が2つ付いていた。(写真中央下)節から出ている根の1本は真直ぐ地中に入り込んでいる。
7.クラシ山頂西の見晴らしの良いピークにて
バックに御在所山・鎌ヶ岳を見る位置で記念撮影する。毎回同じところで写せば広い範囲のササの変化も知ることが出来る。枯れた稈がやや低くなったように感じる。
8.クラシ山頂西から調査地点のブナを見る
4月・5月・7月とそれぞれ色調が違っている。4月には樹に葉が全く付いていない。5月の時は新緑が瑞々しい。7月は濃い緑。今回は色付き始めこれから紅葉することが読み取れる。このブナの下が調査地点だ。
9.イブネ北端へ登り返すメンバー
この斜面には枯れた稈が相当立っていたように思うが今は折れて立っているものが少なくなっている。以前は目にしなかった羊歯の仲間がはびこり緑色をしているところがある。
10.イブネ北端の調査地点
4月稈が立って先が折れ節から枝が出て葉を付けていたササが多かったので5月調査地点に追加した。7月は5月と同様であった。ササの数をすると5月時点より総本数は増えていた。バックは雨乞岳。
11.クラシをバックに今回はじめて参加のメンバー3人
3人はササ枯れの現状を目の当たりにして驚いていた。話には聞いていたがこれほど酷いとは思わなかったと言う。会員全員に見てもらいたいと言う。以前の背丈以上あったササを知らない彼らが言うのだ。これは今でも枯れた稈が葉も付けずに立っているからだろう。そのうえにツツジ科の樹も立ち枯れ倒れた樹も多いから想像がつくのだろう。バックは近くにクラシ遠くに釈迦ヶ岳。
12.佐目峠にて
イブネ調査地点は今月2日時点同様シノ類が蔓延りササの数すら出来ない。1uのクサリが見えないほどだ。ここではそれだけシノ類が優勢なのだ。佐目峠への下り枯れザサと倒木の合間にセンブリが花を付けていた。千切って4人に舐めてもらった。苦くてビックリしていた。茶として千回振り出しても苦いのでセンブリと言われているのだ。苦味健胃薬だ。佐目峠からは前回下山口に赤布を下げたところから適当に下る。左から来る谷の左岸に行かないように出来るだけ往きに登ったところを下る。登山道に出れば千種越の路だ。御池谷・コクイ谷・上水晶谷と渡り根ノ平峠から下っていくとようやく秋の日差しが出てきた。伊勢谷小屋駐車場に16:30に戻れた。
概念図はこちら
イブネ・クラシが初めて3人の評価は・遠く時間が掛かること・ルートが解り難いこと・ササ枯れ樹の立ち枯れが予想以上であること・見晴らしが極めてよいことであった。なぜこのようにササが枯れたのか調査が必要だと言っている。出来るだけ多くの会員の協力が得られるようにしたい。
2005.10.16  T.Yamada