■行ってきました

定例山行・ササ観察Y:イブネ・クラシ

定例山行の目的が会員相互の親睦で誰でも参加できることが条件になっている。イブネ・クラシは距離長く長時間歩行を余儀なくされるため躊躇したものの希望も多くここに決まった。

1. 根ノ平峠
ササの調査隊は3人だ。KM・YHの2人は会事務所に泊まり5月14日4:30出発して現地に向かう。朝明渓谷駐車場に着いた時は今にも雨が落ちてきそうな空模様であった。降り続いた雨は上がったものの沢の水量は平水より多く靴が多少濡れた。天気予報は午後から晴れると報じていたが峠までの登山道には水が流れていて神崎川の渡渉が心配された。峠には先月23日には無かった真新しい道標が立っていた。
2. 神崎川渡渉点
上水晶谷は難なく過ぎたがコクイ谷と御池谷に分かれる神崎川の渡渉点では石の上を水が流れ踝まで浸かり足を取られる可能性もあるように見える。昨日総リーダーのHSさんから冠水しているようであれば引き返すように指示が出ていた。どうするか3人で協議したが判断は難しい。携帯や無線で何回も連絡を取ろうとしているのだが谷間のため通じない。取り敢えず石を投げ込んで見ることにした。3人で約1時間ようやく渡れそうになったので空身で中に入ってみる。YHも渡って戻ってきた。3人ならば行けるが本隊は大勢だ。やはり指示に従うことにして本隊に合流すべく戻ることにした。
3. ヤマシャクヤク
戻って上水晶谷を渡ったところでAパーティーが降りてきた。合流して上水晶谷を渡り返しB-パーティーの来るのを待ってから再び神崎川に向かう。
4. ルイヨウショウマ?
木々が芽吹く頃この近くに入るとなんとなく気持ちがやわらぐ。学生時代や息子の小学生のころを思い出す。懐かしい感じがする。
5. 定例山行本隊の渡渉
ほとんどはそのまま渡渉したがSHさんは靴を脱いで渡った。石を投げ入れただけの効果はあったようだ。
6. イブネのササ観察(No.7−1)
御池谷は問題なく渡り小峠への分岐に登ってからは大きなアップダウンもなく下重谷の手前に着いて一本立てる。ここからは踏跡が怪しくなるのだ。下重谷に沿って行き住み後らしきところから谷を渡り西に向かう踏跡に出ると間もなく再び流れに出る。これが佐目峠に向かう谷だ。右岸に上がり谷に下り再び右岸に上がり小さな沢を2本渡ると雰囲気がよくなってくる。登ると佐目峠に出るのだが少しショートカットしてササ枯れした尾根に上がる。二段になった尾根には小屋でもあったのか広場に朽ちた柱がある。上りきるとイブネの南端だ。平頂なので何処が山頂なのかわからない。観察点の1m四方の中は背の低いシノ類が生い茂りササの数が出来ない。
7. クラシ山頂北西のピーク
イブネの平頂丘のササは鈴鹿では最も早く枯れたように思う。イブネからクラシの間ではササがなくなっているため見晴らしは抜群だ。御在所や鎌が素通しだ。クラシまでの斜面のササはまだ一部枯れた稈が立っている。01年既にササ枯れが進行していたがそれでもまだ小さな葉ではあるが腰くらいまで背丈があった。今年は雪が多かったのか木にも葉が出ていない。この木は昨年5月には芽が出ていた。
8.クラシ山頂にて
折角来たのだからと調査隊3人はクラシ山頂に行った。昨年5月14日KSさんと来た時にはシャクナゲの花が満開であったのだが今回はまるで異なり蕾があるもののまだ硬く数も極めて少ない。やはり昨年は花の当たり年だったようだ。山頂から木間越しにイブネ北端にいる本隊が見えたので無線連絡したが何処がどうなっているのか全く通じなかった。(本隊はルートを見失い下重谷から左の尾根に上がり直接イブネに登ったということである・結果オーライであった)
9.クラシのササ観察(No.6)
時間に余裕が無くなっている。土壌の採取をYH・1m四方中のササの数をKMさんにお願いして昨年出た芽の地下茎を調べようとしたがそれが見当たらない。枯れてしまったのかも知れない。間もなく本隊のAパーティーが来てササの背丈の測定等観察に加わって頂けた。
10.クラシ山頂北西ピークから見た調査地点
クラシの調査地点には後4年の間に多くの会員が観察に入ることになるだろう。調査地点はこのブナが目標になるだろう。このピーク辺りではササが枯れて疎らに立っている木も枯れかかっている。手前にある木は昨年4・5・7・10月一度も芽を出さなかったもののまだ立っている。
11.イブネ北端のササ観察(No.7-2)
ササの葉がなくなり枯れた稈のみが立っているものが13本・主稈が枯れ50cm以上で上部に節が5〜6個ありそこから枝が出ていて枯れても葉の付いているものが7本・5cmほどの新芽が12本あった。昨年3〜10cmで上部に集中した節から枝葉が出ていたものが13本あったことから新芽がそのようになり次年には枯れるように思われた。
12.イブネに咲くフデリンドウ?
イブネの平頂丘ではササが枯れシノの類が繁茂し木が枯れ根元から倒れているものも見られる。シノ類の間隙にはマンネンスギ?が蔓延りところにより裸地になっている。それらの間にフデリンドウ?が咲いていた。昨年は4月24日の時に咲いていて5月14日には見られなかったものだ。定例山行の本隊Bパーティーはイブネまでとして杉峠経由で下りAパーティーは佐目峠からササ調査隊もやや遅れて下りコクイ谷出合で全員合流して下山した。朝明駐車場について円陣になってHSリーダーを中心に反省会を行い定例山行は無事終了した。結果オーライは反省課題となった。

概念図はこちら

今冬の鈴鹿山系の気象は降雪量が多く異常と言われているがここのササにとってはこれが正常なのかもしれない。年平均最高積雪量75cmがスズタケ線・50cmがミヤコザサ線との研究結果がありこの点から近年の鈴鹿山系の積雪量がこれらに達していなかったことがササに災いをもたらし北方系のチシマザサやチマキザサが枯れてきているのではなかろうか。ミヤコザサに変わってきているのではないかと言う人もいるが地下茎を見るかぎりではこの結論は早すぎる。5年間の調査の内に一端でも掴めればと思う。
2006.5.14 T.Yamada