■行ってきました

早春のイブネ・クラシ 2007.3.4  T.Yamada

会長にイブネ・クラシへ単独で行く許可を得た。前夜3月3日改装なった愛知労山朝明ロッジに1人で泊まり4日根ノ平峠〜コクイ谷出合〜佐目峠〜イブネ〜クラシのピストンとした。目的は「ササ観察地点の積雪状況チェック」であった。今年は極端な暖冬で気温が高いため雪解けも早いが所々残雪上を歩いた。1m四方の鎖の中はすでに溶けた後であった。

1. 愛知労山朝明ロッジ
半年前はひどい状態であった小屋も関係者の努力により見違えるようにロッジとして生き返っていた。中は暖かくストーブを焚くことなく眠ることができた。
2. コクイ谷出合
朝外に出ると車が濡れている。明け方に雨が降ったようだ。前日に伊勢谷小屋へ電話して駐車場を利用させていただいた。根ノ平峠には新しいものも含め標識が何本も立っていてその周りには大きな葉を付け高さも背丈以上あるササが茂っている。しかし調査地点のササは枯れが進行しているようであった。コクイ谷の出合近くなると残雪が出てきた。
3. 佐目峠に向かう谷の右岸
杉峠への路と分かれ今回は谷の左岸伝いに入り右岸に渡り返してみた。この方が右岸から入るより安全なようだ。右岸に渡り返した所で帰りに谷へ下りる目印として赤テープを2本垂らした。
4. イブネ山頂近くの水溜り
佐目峠からの登り小屋跡には残雪が多かったもののイブネ山頂標札までは雪はなくシダやシノの類は枯れていて低いササの稈が出ていた。ササが枯れし地肌が剥き出しになり低いところには雪解けの水溜りが池のようになっていた。
5. 霜柱により浮き上がったシノ類
ササが枯れシノ類が出てきたところに雪が積もり寒気に曝されることが無く保護されていたものがその雪解けが早くそこに寒風が吹き付け気温が低下し大きな霜柱が立ちこれが溶けて表土が浮き上がったものだろうと想像する。このようにして地肌が剥き出しになるのだろう。
6. 雪庇の残り(バックは雨乞岳)
おそらく雪庇が張り出していたのだろう。この暖気で今にも落ちそうな残雪があった。真冬であればうっかりすると雪庇の上を歩いたであろう。気を付けたいところである。
7. イブネ北端ササ観察点
少し雪の上を歩き新しく設置したササの観察点に来ると雪は無くなっていた。今日は雪の量を見に来たので数をするのは止めにした。鎖は健在であった。旧観察点は北端にあったため標識や鎖が悪戯されたことがあり変更したものであるがこれが良かったようだ。
8. イブネとクラシの鞍部
イブネから下り鞍部の樹林には日が当たらないためか雪の量が多かった。硬いところと軟らかく踏み抜く部分があったが嵌まっても踝程度で問題は無かった。
9. 昔「越百」の表札があったピーク
クラシまであと5分ほどだ。昔は背丈を超えるササで入ることが出来ないようなところがササ枯れで一面荒涼とした広場になっている。ブナの木が見えている。そのすぐ下にササの観察点がある。手前の黒くなったところは霜で地表が浮き上がり沼地で水が無くなった時のようにひび割れていた。
10. クラシのササ観察点
観察点1m四方の鎖は健在でありそこに雪は見られなかった。すぐ近くには残雪があった。鎖の中の標ザサ(昨年5月時点10cmの新芽と枯れた97cmの稈)はいずれも残っていた。
11. 越百からイブネ北端を見る(左奥は鎌ヶ岳)
尾根の北斜面には雪がついている。手前の平原は夏場シダ類が繁茂していたが今はシダ類はかれているので黒い枯ザサの稈が立ち所々にアセビの幼樹が目立つ。
12. イブネのササ観察点
昨年シノ類・シダ類が繁茂してササの観察が出来ないため鎖の位置を90°移動した。この時期シノ類・シダ類は枯れてマンネンスギが緑で蔓延っているが観察は可能であったようだ。近くに残雪が見られた。
概念図はこちら
ササの観察点の積雪は3ヶ所とも0であった。イブネ周辺はアセビの幼樹が多く将来入道岳のようになるのかもしれないと想像し荒地にはならないように願っている。