■行ってきました

ササの観察:佐目峠〜イブネ・クラシ 2008.11.29  T.Yamada

イブネにはこの秋3回目である。9月28日と10月12日は女性交流の下見であった。この時にもササの観察をしたのだが県連ササ枯れ調査は5月と11月に行うことになっているので改めて11月29日に実施した。SHさんをリーダーとして7名がそれぞれ観察の役割を持ちスムーズに調査・観察を行うことが出来た。

1. 体温調整
快晴の朝を迎えた。16日に歩いた三重県民の森を通り朝明渓谷の駐車場に着くと現地集合のNMさんとTHさんは車中泊をして待っていた。冷えていたので着込んでスタートする。伊勢谷沿いの道は大分歩きやすくなっている。歩いていると体が温まり堰堤の上に出たろころでSHさんから体温調整の指示が出された。
2. 広葉樹林の陽だまり
根ノ平峠からタケ谷道を少し下って左へ千草越えの道に入る。コクイ谷の出合の流れは以前に戻りつつある。渡渉し本流沿いに行く。左岸に渡渉してトラバース気味に小尾根を越えていくと下重谷の手前で気持ちの良い平坦地に出る。ここが千草越えと佐目峠へ向かう道との分岐だ。NMさんは杉峠方向に行き2本の沢の地形を25000図に同定し地図の通りだと言って喜んでいた。
3. ササ枯れの後
分岐から下重谷の左岸を少し行くとすぐ鉱山関係者の生活臭が感じられるところがある。ここを右岸に渡ると道は尾根を巻いている。佐目峠・イブネに向かう沢に出てこの沢沿いに行くのだが踏跡は明確でない。この本流は右折してイブネに向かっているのでその前に右岸に渡った方が無難だ。小さな流れを越えて行くと上が見えてくる。これを目掛けて登ると佐目峠近くの尾根に出る。まだイブネは見えない。バックに杉峠の頭・雨乞岳右に御在所山を見て尾根を登ると平頂丘に出る。すぐイブネ山頂だ。ササの観察は後にしてなおも進み北端に出る。クラシへの鞍部まではササ枯れの後シダ類が一面を占めているが今は枯れて茶色になっている。手前の緑色はヒカゲノカズラだ。
4. 記念撮影(TYは撮影)
緩やかに下り上り返したところはササ枯れして丸裸になったクラシ北西のピークだ。ぽかぽか陽気で大休止したいが取り敢えずクラシの山頂に行ってからにしよう。山頂はシャクナゲが茂っているのみで見晴らしは利かない。
5. 枯れた稈の計測
定点観察点1uの鎖の中で標ザサに赤布を付けてある。葉の無い稈であるが長さを測る。この役割はSHさんが受け持ってくれた。ササは無いと同じだ。せいぜい背丈が15cmで上部で多数の枝を出し小さな葉を付けているものはあるがその数も減少している。一昨年春の新芽に赤布をつけ標ザサとしたものは無くなっていた。
6. 定点観察点No.6(クラシ)
定点観察点の周りにはシノ類が多くなっている。1uの中にまで入り込んできていた。観察している内にぽかぽか陽気が震え上る寒さに一変した。
7. 国見岳・御在所山・鎌ヶ岳をバックに
大休止を予定していた所も風が吹いているので寒くじっとしてはいられない。2人パーティーが来たのでシャッターをお願いした。
8. 定点観察点No.7-2(イブネ北端)
旧定点は悪戯されたため5mほどずらして新定点を設置し標ザサも定めてある。一昨年春の新芽は葉を落としてはいるが稈は残っていた。ここでの観測は背丈の計測1u内の数と写真撮影のみで土壌採取は行わない。ササ枯れ後の下草はクラシと異なりヒカゲノカズラがツルを伸ばし繁茂してきている。北端からは今行ってきたクラシが目の前にあり奥に釈迦ガ岳も良く見える。残念ながら今日は琵琶湖は見えない。
9. 土壌採取
イブネの定点に着くとすぐ土壌の採取がはじまった。土壌採取はNMさんとTHさんの2人だ。
10. 定点観察点No.7-1(イブネ)
                 ・・・(バックは雨乞岳)

旧観察点はすぐにシノ類に覆われササが見えないほどになったため45°左回転させて新定点としたのだが標識や鎖への悪戯は止まない。樹に巻きつけた標識と撮影地点の標識は健在である。1u内のササの数はTe.Ya.さんとMUさんの担当だ。ササ枯れ後の下草は周辺ではシノ類1u内はマンネンスギが繁殖している。周辺の木本はヤマツツジやサラサドウダンの枯れが進行しアセビの幼樹が成長してきている。
11. 鈴鹿展望ナンバーワン
イブネからクラシへの平頂丘は鈴鹿の山々の展望を楽しむには抜群の地域になった。過去ササのため入ることも出来ない状態にあったのだがたった10年足らずでこの状態になった。登山者として展望の山が増えることは有難い事ではあるがササを分ける楽しみは無くなった。一方山麓の住民にとってはどうであろう。ササが無くなり樹木が枯れると必然的に水の保有力が無くなり同時に土壌流出もありうるように思われる。行政と協力して何か出来ることはないのだろうか。
12. 渡渉
杉峠の頭を正面に枯れた樹木の中からササ枯れ後のアセビやマンネンスギを見ながら下ると佐目峠だ。カヤツリグサ科のものもあった。佐目峠のヒカゲノカズラは一部枯れている。どうしたのだろう。今日は終始リーダーのSHさんが先頭である。杉峠からの道に出て神崎川の上流・コクイ谷・上水晶谷を渡渉して根ノ平峠から朝明に戻り三休の湯で体を温め帰路についた。

概念図はこちら


イブネ〜クラシに行くには時間を要するもののぜひ登ってほしい山の一つだ。そこからの見晴らしはすばらしい。ササ枯れになった後どのような植物が生育するか観察して頂きたい。