■行ってきました

ササの観察12 クラシ北東尾根〜クラシ・イブネ 2009.5.23  T.Yamada

愛知県連のササ枯れ調査が5年目になる。過去4年間にイブネ・クラシでのササの観察は05年5回・06年2回・07年3回・08年4回行っているので、今回で15回目だ。「あつた」のササの調査観察担当は昨年HKさんに引き継ぎしたが、TYも当初5年間実施する計画であったのでその間は継続したいと思っている。今回は小峠からの計画であったが、Te.Ya.さんの希望によりクラシ北東尾根を登ることになった。この尾根は以前から登りたいと思っていたところであった。前日の降雨により沢の増水が心配されたが、神崎川やクラシ谷とその支流も平水で問題はなかった。天候は回復したものの、寒気が入ったのか風が強く午前中は行動していても寒く感じた。シャクナゲやシロヤシオ等の花々が満開で花見を楽しむこともできた。

1. サラサドウダン
朝明渓谷駐車場に3台で集まり6:10スタート。伊勢谷も濁りは全く見られず足を濡らすことなく渡れた。伊勢谷沿いの道をいくとサラサドウダンやベニドウダン・ヤマツツジの花が咲いていた。
2. 雲に隠れたイブネ・クラシ方向
伊勢谷は昨年の集中豪雨により特に南側の沢の崩壊がひどい。堰堤前を簡単に渡渉し高巻くと堰堤上の崩壊地に出た。そこで小休止して登る。沢状から少し前まではササ藪であったところが枯れて稈も折れているため歩きやすくなりこれを行き根の平峠で小休止。ここのササは一挙に枯れて稈のみとなっている。寒気が入っているのか予報に反し冷えている。雷雨にならなければよいがと思う。
3. 神崎川(愛知川)
タケ谷道もササが枯れたため掘割状を行くよりもその横の方が歩きやすい。千草街道を左に見送り下ってタケ谷を右岸に移る。山側にも踏み跡があるが沢の横を行くのが良い。左岸に渡りかえし道なりに下ると神崎川に出る。渡渉しやすいところを渡る。水は澄んでいて若葉が美しい。全員渡渉して小休止。「お気に入り(1)」
4. シャクナゲ
神崎川の山側にある平坦な踏み跡に出てルンルン気分でいくと川側が切れ落ちたところに出て一か所要注意だ。これを越すとクラシ谷道への分岐だ。左折していくと右にクラシ谷が見える。左岸に入る支沢も見えているので渡ってその支沢の右岸に行きやすそうなところを進み踏み跡らしきところを左岸に移る。支沢の中の方が歩きやすくなって小休止。JHさんが様子を見に行ってくれた。次の二股状を右に急登して鞍部に出た。あとは尾根上を行くが踏み跡は定かではない。SHさんが常時先頭で歩く。TYはフーフーと呼吸がつらい。リーダーのHK.さんがついてくれている。傾斜が落ちてくると昨年オゾ谷から登った時のブナとシャクナゲがまばらにあるところに出た。シャクナゲは満開だ。SHさんがこれからクラシに来たときはここに降りて一本とる方が良いと言っている。
5. ササ枯れ観察クラシ定点No.6
クラシ山頂で小休止してササ枯れ調査地点に向かう。雲は無くなったものの風が強く寒いので雨具を着た。定点では前回まで稈が立っているものもあったが今はこれが折れ無くなっている。葉を付けているササは8本のみになっていて最も大きなもので15cmだ。新芽は観察出来ず稈のみのものが20本で大きなものでも10cmほどである。標ザサに設定し赤布を付けたものは無くなり赤布のみが落ちていた。土壌採取。
6. 御在所山・鎌ヶ岳をバックに本日のメンバー9名
クラシの観察を終えいつも撮影している同じ位置に来ると単独登山者と出会った。シャッターをお願いした。「あつた勤労者山岳会」ホームページ・山のアルバムへ05年5月1日にアップしていただいた「ササ枯れ調査T」の時最後に比較のため01年6月16日の同位置撮影の写真を載せて頂いている。「お気に入り(2)」
7. イブネ北端定点No.7−2にてササの観察
イブネ北端への登りのササ枯れ後にあったシダ類はなくなっているがシダ類に芽が出始めていた。北端定点ではササ枯れ後1m四方の鎖も見えないほどヒカゲノカズラが繁茂し、枯れたササを探しても全く見当たらない。なお旧調査地点では枯れた稈が立っていた。北端からは目の前にクラシ奥に釈迦ヶ岳が展望できる。
8. 赤く染まったアセビ
左に御在所山・鎌ヶ岳正面に雨乞岳を見ながら気持のよい平原を行くと、赤く染まったアセビの幼樹が急速に生育し群落をなりつつある。日本庭園の雰囲気で素晴らしい景観をなしている。「お気に入り(3)」
9. イブネ定点No.7にてササの観察
定点No7は昨年11月の観察時点ではマンネンスギやシノ類で枯れザサが見にくいほどであったが、今回はマンネンスギも芽を出したところでシノ類はまだ枯れていたのでササの数が出来る状態であった。すぐ横には白い花を下向きに咲かせたチゴユリがあった。その他ササユリ?やアオマムシグサらしき草本が芽を出していた。
10. 御在所山と鎌ヶ岳
シロヤシオの樹と赤いアセビの丸まった樹が平原に点在し、谷の向こうに御在所山と鎌ヶ岳を見る風景すばらしい。「お気に入り(4)」
11. シロヤシオ
シロヤシオは満開であった。花がやや小さく感じたが数が多い。シャクナゲとシロヤシオが見れて皆満足そうであった。
12. 根の平峠に戻って
下って佐目峠の手前樹林に入るところで小休止。佐目峠には寄らず谷に下りる。薄い踏み跡でも先頭のSHさんは慣れたものだ。昨年秋にSMさんが縛った赤布も残っている。下重谷を跨ぎ杉峠からの千草街道に出合って一安心。小休止。神崎川上流と書かれたところを渡渉して平坦になった山道を下ってコクイ谷出合を渡渉し小休止。「お気に入り(5)」
千草街道を登り返して根の平峠に戻った。ヤマツツジやタニウツギの花を楽しみながら16:05朝明渓谷駐車場に戻り、いつものように三休の湯で体を温め解散となった。
概念図はこちら

初めてのコースはどんなところだろうと行く前に地図と睨めっこして想像することが楽しみの一つである。もうこのような踏み跡のはっきりしないところへ初めて行くことはできないだろうと思っていた。今年に入ってはじめてのコースが4月18日の上水晶谷左岸尾根と今回のクラシ北東尾根と2回になった。企画してくれたKSさん・Te.Ya.と遅れ気味になるTYを励ましてくれた各メンバー・リーダーでササ枯れ調査担当のHKさんに感謝したい。