思い出の本
記: あつた労山 縄文人

一番目の本は、今手許にありません。今回は二番目の本について書きます。

「少食が健康の原点」(甲田光雄、たま出版、初版1991年)
この本は、こんな事を説いています。

「少食に病なし」
「少食になると老廃物の排泄が完全に行われる」
「毎日働きつつ1日につきたったの50キロカロリー(青汁一杯だけ)でピンピンしている」等々。
えっ、山と何の関係があるんだって?こんな症例が出て来るんです。

中年の女性です。太りすぎて膝関節痛になり、玄米菜食の少食、断食、そして生菜食へと移行していきました。理論的には摂取カロリーより消費の方が大きいはずですが、なぜか途中から体重が増えるのだそうです。

この方が58歳の時、六甲縦走に参加しました。この当時の食事は平常食で、記録は17時間20分だったそうです。翌年は周到に準備をして14時間30分。食事はやはり平常食です。その翌年は生菜食です。1日800キロカロリーです。しかも縦走参加1週間前に2日間断食を行い、その後4日間は生野菜だけを1日200〜300キロカロリー食べたというのです。で、記録は12時間!しかも、縦走当日に食べたのが、ミカン、リンゴ、干柿、梅干だけ(1日383キロカロリー)だというのです!この方いわく「最後の13キロメートルくらいではまだまだ走れる余力を感じた。走れなくなるまで無制限に走れといわれたら、まだ数十キロはいけたですよ」(!)

どうです。ちょっと興味が出てきたでしょう?私が思ったのは、「食料がこれだけですむなら、長期縦走の荷物が軽くなるな」ということです。これでますます疲れなくなるというわけです。

同じような事を考える人がいて、何年か前の『岳人』に報告が載っていました。その方も登山における少食の効能を認めていました。でも、それっきりになっているところを見ると、反響は少なかったようです。

この本は断食や少食のやり方を細かく説明しています。この通りやることは、ちょっと大変です。でも、「少食16年、老いてますます元気」という80歳の方の症例があります。私は退職してから実行しようと思っています。