槍ヶ岳(北鎌尾根) |
夏合宿Bパーティ 記: あつた労山 森田 |
メンバー:I(CL)、S、R、T、森田(計5名) 8月11日 会事務所14:00〜松本17:30 8月12日 松本3:10〜中房温泉4:30〜合戦小屋7:22〜燕山荘8:31〜貧乏沢分岐12:36〜天上沢出合14:46 8月13日 天上沢出合テン場4:23〜北鎌沢出合4:36〜北鎌沢コル7:10〜独標の次のピーク10:39〜槍ヶ岳14:50〜槍平テン場17:55 8月14日 槍平テン場6:16〜新穂高温泉9:28〜松本12:00〜名古屋20:00 北鎌尾根の資料を読めば読むほど、岩登りの技術も要るが、それ以上に体力を必要とするところと思えてきた。SさんIさんは荷物の軽量化に腐心していたが、私は自分の体力のアップをどうするか腐心していた。しかし、トレーニングを積めばレベルはアップできることを実感したのも今回の合宿の収穫であった。 昼中の2時に集合。沢登に行く会員に見送られ暑い暑いと言いながら出発。中央高速道路の駒ヶ根付近で対向車線のトラックが横転して大渋滞していた。幸先良くないものを見たような感じである。松本駅の近くのビジネスホテルに入り、すぐ前の居酒屋で合宿の前打ち上げ?となった。店を出たら夕立で道路が冠水して渡渉するはめになる。どうも幸先良くないなあ。 大天井ヒュッテに着いたときはガスがかなり濃くなってやや肌寒い。ヒュッテの中に入り、コーヒーやうどんを摂り、「このまま落ち着いてしまうね」と言う声も出るが、もうひとふんばり貧乏沢を目指す。登山道に貧乏沢の道標があり藪の中に分け入るかと思いきやけっこうはっきりした踏み跡がある。しかし沢筋のガレ場は非常に不安定。気をつけていても落石を起こす。合戦尾根の登りでかせいだ標高をどんどん“消費”する。 翌朝は、願ってもない晴天である。ラテをつけて水のない天上沢を進む。北鎌沢の出会いはケルンがあるはずであったが見当たらず少し引き返す。木の枝にペットボトルが刺してあるのが目印となっていた。乗り越すのに苦労する岩が2ヶ所ほどあるが、昨日“消費”した標高をぐんぐんかせぐ。最後は草をつかみながら這い上がり、北鎌沢のコルに出る。その先踏み跡どころか明瞭な登山道となっている。しかしハイマツの枝をつかまりながら登らなければならない。記録などから北鎌尾根は両側がすっぱり切れたヤセ尾根かと思っていたがアップダウンが激しい尾根という感じで少し安心する。見晴らしのよい天狗の腰掛けに出ると、目の前に独標がそびえている。良く見ると正面からザイルで登っているパーティが見えた。えっ!そこを登るのかと思ったが、巻き道はちゃんとある。北鎌尾根を登るには@体力とAルートファインディング能力の2つが重要であると思う。昨日の静岡県連理事の方は6回北鎌尾根に登ったがいつもルートが違うといっていた。それはきちっとルートファインディングしていないのではとも思うのだが。巻き道は千丈沢側にいろいろつけられているが沢側に降りすぎると後で難渋すると思う。「稜線上を行くのが正解」とはTさんの言葉。確かにそうだが難しいところもあるなあ。巻き道といってもカニの横ばいよろしく通過する岩場もあり、残置ザイルを使う急なガーリーもあり、岩屑だらけで落石ばかりするところも多い。それでもTさんのルートファインディングは素晴らしいとはほか4名の一致した見解である。まるで北鎌尾根を何回か来ているかのように的確にルートを見つけていく。 尾根も半分が過ぎたところで休憩。Rさんがいれてくれたコーヒーがとてもおいしくほっとする。千丈沢の向こうの三俣蓮華などの裏銀座ルートの山々が良く見える。同じ場所で休んでいた倉敷勤労者山岳会のパーティの写真を撮ってあげる。“北鎌尾根から穂高縦走”という横断幕を持ってカメラに収まる。すごいなと感心してしまう。
北鎌平までくると大槍が小槍を従えてすっとそびえているのが間近に迫ってくる。槍沢あたりから見る槍よりカッコ良いのではないかと思った。頂上まで後少し。しかし2ヶ所チムニーがあり、私は出していただいたシュリンゲの助けを借りてしまった。祠が見えてきてあそこまで行ったらもう登らなくてもいいのだ、一般登山者が拍手でもしてくれたらどうしようなどと考えながら、祠の裏からひょいと頂上に立つことができた。無事に北鎌尾根を登ることができて本当に良かったと心の中で感謝しながらIさん、Rさん、Sさん、Tさんと握手を交わす。ふと見ると頂上に一般登山者の姿がなくあれっとおもっているとはしごから次々と人が現れた。下をのぞくと登りと下りの通行制限を行っているようだ。登頂の余韻に浸っている間もなくそそくさと降りる。 槍ヶ岳山荘はものすごい人で北鎌尾根とは別世界である。あいにくテン場がいっぱいなので槍平までおりることになった。すでにここまでで10時間行動してしてさらに槍平まで2時間半歩いたが、不思議と疲れ切ったという思いはなかった。槍平まで下りたおかげで、翌日は新穂高温泉で早い時間のバスに乗ることができた。松本から車を置いた穂高へ向かい名古屋へと帰る。外は暑いが、途中車の中で見た積乱雲が非常にすがすがしい感じがした。 実は私は槍ヶ岳は今回が初めてで、つまり“初めての槍ヶ岳を北鎌尾根から登った”わけで、こういう人はそういないのではと思い自分としては少しうれしく思っています。しかしこれもパーティの皆さんの協力があってこそ実現できたことなので深く感謝しております。 |