二つの自然観察山行 |
記: あつた労山 岡本 |
この時の「尾張三山縦走」はかなり歩きがいのあるコースであったが、美しい花や珍しい樹木があれば、立ち止まって観賞しひとしきり花談義が続く。鳥が飛んでいれば、双眼鏡を出して姿を追い鳥談義をはじめる。ランチタイムには、松ぼっくりを燃料にした電池コンロの鍋作りで、おしゃべり三昧。歩いているときはピッチが速い。自然まかせの思いきり不規則な山行であったが、今までにないような楽しさに出会えたような気がした。 私はそれまで、「自然観察」はゆっくり、ゆっくり歩くもので、山歩きとは異質なものだと思っていた。マップの自然観察グループの方との山行で、これが十分に楽しめるものであることを知り、それに興味を抱いた。 一口に自然観察といっても、植物、野鳥、天体などたいへん範囲が広い。こうした面が不得手の私は、何か的をしぼるべきだと思いながらまだ対象を決めかねていた。 そんな折昨年7月、自然保護部のTさんが「位山演習林の樹木観察会」を企画され私も参加した。そこでは毎月演習林ニュースで位山の自然を紹介してみえる岐大のI先生が、原生林に生えている大きな樹木をたくさん紹介して下さった。私は山の樹木の美しさ、逞しさにたいへん感動した。そしてここでも、I先生は私達がついていけないほど速いピッチで歩かれ、改めて山歩きと自然観察は異質のものでないと思った。 また、I先生に木の名前と木の名前を覚えるための特徴を丁寧に教えていただき、樹木への興味が沸いてきた。そしてどうせ覚えるなら、樹木は毎年、新緑、花、紅葉、果実など年中楽しめるといった打算的な思惑もあって、木の名前があるていど分かるようになりたいと思った。 そして、昨年の秋のことである。 県連の女性の集い主催による「尾張本宮山・自然観察会」で、「犬山マップ」の山のトイレ博士や里山の女王のお二人の颯爽としたガイドを拝見し、半年間での研鑚のすばらしさに驚かされた。この時身の程知らずにも、私もできればもう少し樹木観察の勉強をしてみたいと思った。 昨年の春、夏、秋の三つのたまたまの会山行を通じ、私は樹木観察への思いを強く持つようになり、現在いろいろ苦労している。仮に平地の仮免が得られたとしても、次には山での本免が待っている。 今、柿の種を蒔いても、私はその実を食べることができないかも知れない。人生の終盤に入ろうとしているこの年代で、よりによって「樹木」のような長寿なものとなぜ一生懸命に関わりを持とうとしているのか、自分でもあきれている。 |