地図読み教育山行 東大演習林にて H.Y

種別 教育山行  目的 自然観察と地図読み
山名 東大演習林(とうだいえんしゅうりん)、折平山(おりひらやま)
山域 瀬戸
日程 2010年2月21日(日曜日)
天候 快晴 
メンバー CL H尾j SL M嶋 S水 M村 T見 S木 Y井 計7名

行程
[金山]7:00 = 8:00[東大演習林赤津宿泊施設前(行程・目的打ち合わせ)]8:34 ・・・ 8:45[白藤林道登山口]
・・・ 8:57[送電鉄塔]・・・ 10:07[P581] ・・・ 10:47[P611]11:15 ・・・ [P647] ・・・ 11:53[北戸越峠]12:29
・・・ 13:08[折平山(628m)]13:18 ・・・ 13:53[送電鉄塔]14:12 ・・・ 14:20[P498] ・・・ [戸越峠手前分岐点]
・・・ 15:19[東大演習林赤津宿泊施設前(反省会)]16:00 = 17:20[金山]

金山から1時間足らずで到着。今回地図読みの講師役のS木さんからこの演習林に入るために許可を貰っていると説明を聞いた。宿舎出入り口の車止め前で車の出入りに支障のない場所に駐車したが、許可証は車の運転席の前において見えるようにした。この入口に演習林の目的などが書いた看板があった。自然を研究する施設のようだ。愛知に東京大学の関連施設があるとは知らなかった。


宿舎の横でH尾さんとS木さんからこの日の行程と目的が伝えられた。地図読みを学ぶためには実践が一番ということで、交代で先頭を歩き目的地までの道を地図とコンパスを頼りに捜しながら歩く。最初に宿舎の裏から白藤川を渡り、白藤林道へ出る。まずは私が先頭に立ち鉄塔までの入口を探す。中電の巡視路を歩いたこともあるし、案内標識もわかっている。しかしこの林道の何処から上がれるのか見つけるのが目的で、その標識を見つけるのが目的ではない。ついついそんな標識探しに気を取られているうちに登れそうな場所を見落とした。「少し戻ってください。こちらからの方が良いですよ」と後ろのS木さんからご指摘をいただいた。まずは見落としミスだ。


山歩きより散策に近い感覚で参加した私にとってスタートの道はまるでバリエーションルート並みの厳しい行程になった。かなりの急坂だ。息も弾む。参加は間違ったかと後悔の念さえ沸いてくる。今は冬。樹木の葉はない。入口に付いていたピンクのリボンが案内目印だった。少し高度を稼いだ頃、鉄塔にたどり着いた。鉄塔下で体温調整休憩を取る。ここで手に持った地形図で位置確認。どの鉄塔なのかの確認だ。よくよく考えれば地形図を見たのは入口を入る時だけ。後はコンパスと地形図を見比べ確認もしていない気がする。ただ薄い踏み跡とリボンを辿っただけのようだ。ただ一生懸命上るだけで精一杯になっていた。暖かさに加え急坂を登ったためかなり汗をかいている。南にある猿投山が大きく見える。


私のリードは最初の「581ピーク」まで。喘いで上ったピークが目的地だと思った。全員地形図を取り出し、位置確認をする。リーダーからその場所は目的地ではないと教えられる。まだ途中の小ピークだと教えられる。それもルートから西へはずれた場所だという。少し戻った場所に分岐があり、右の道、北東へ進むのが正しいルートだった。その分岐も確認していなかった。完全に落第点の地図読みだった。そこから目的地の「P581」までさらに10数分も歩いたのだ。読んでいるつもり、見ているつもりでは正しい地図読みは出来ないのをつくづく思い知らされた。


「P581」から先頭はS水さんに代わった。今「P581」から「P611」までのルートを地形図上に再現できない。アップダウンの変化が緩やかなので踏み跡のトレースだけで到達してしまったため、地形図と照合できないのだ。特徴のない稜線歩きは地図読みには大変難しい。「P611」の表示は小木の幹に巻いた黄色のテープの上に書かれていた。ここで昼食の休憩。ピークは笹に覆われており鈴鹿の笹枯れとはまるで違う元気な植生だ。休憩のとき境界尾根までのルートを先読みし、方向と越えるべきピークの数を頭に入れた。しかし歩き始めるとピークの数が合わない。10m以下のアップダウンまで数えてしまう。地形図では10m未満のピークは表わされていないのだ。実際に歩くと先読みが難しいのを肌で感じることが出来た。境界尾根まで来たのを確認し南西に急坂尾根を下る。一気に下る。落ち葉で滑り易く足元に気が行ってしまう。地形図を読む暇などまるでない。ドンドン下りる。やがて白藤林道に降り立つ。「北戸越峠」のはずである。全員地形図を確認する。「峠の観音石像がない」とS木さん。「北戸越峠」ではないようだ。地形図を見直すと下った尾根の途中で小尾根が分岐していた。かなり林道の北に下りたのだ。途中で正しい右へのルートを外れ、この北側の尾根を下りてしまったのだ。林道を「北戸越峠」まで南下した。


「北戸越峠」近くの日当たりの良い場所で昼食大休憩を取る。再スタート、地形図の境界印二点鎖線をトレースする。次はT見さんが先頭を歩く。本来下りて来るはずの登山道を確認した。降り口左脇に馬頭観音ならぬ「牛頭観音(ごずかんのん)」の石像が建っていた。この反対側尾根に南西に向かう境界道があるはずだ。目の前の急坂は上に上がれそうなのだが、無理は禁物とさらに南下して入口を探す。一人H尾さんだけがその急坂を登る。先方に入口を見つけた我々とは上で合流。食後の再急登がキツイ。急登が緩くなったとき葉の落ちた雑木の枝の間から北にアンテナが林立している三国山が見えた。稜線まで出て右に折れる。目指すは三角点のある「P628」。ピークに到着すると三角の旗に「折平山」と名前が付いていた。地図読みで位置確認。記念撮影。

ここからM村さんが先頭。「折平山」山頂から西に折れ次のピークで再び南西へ左折、高圧線送電鉄塔の下を通り「P498」へ、そして戸越峠へ降りる手前で右に折れ、宿舎に帰る尾根を見つけ下るルートの案内役。「折平山」の次の「P61*m」のピークを折れるところまでは問題ない。私の地形図読みでは、送電鉄塔までに2つのピークを通る事になる。「P61*m」からの長い下り途中の緩い平坦な尾根道の先にピークがあるはず。M村さんはドンドン下る。私は下りの先にピークがないのに気が付いた。平坦な尾根道の左に目印となりそうな岩があり、そこから左への分岐があった。M村さんは気が付いていない。S木さんから声が掛かった。「そのままで良いですか?ここに分岐がありますよ。」全員で地形図を見ながら検討する。私は左の道を選択したいと考えた。三村さんもとりあえず左の道に変更した。そこからしばらく下りるとピークが見えた。選択は正しかった。はじめて私の読みが正解した。気分良かった。しかしさすがS木さんはこの分岐を分かっておられたのだ。


(この写真はM嶋さん撮影)

鉄塔下で休憩。次の「P498」を越え、演習林宿舎へ戻る右への尾根を探しながらさらに尾根を南下。右にしっかりした道のある割と大きな尾根を見つけ、西に折れた。途中観測用支柱が2箇所あり、ザレた草木のない砂地上の痩せ尾根を通り、やがてセンサーのような配線が多くなって、宿舎の屋根が見えた。

宿舎近くの空き地で、反省会の後解散。私にとってこの山行は、実に有意義であったし、読図に大きなヒントが得られたように思う。山行のたびに地図読みを実践することで精度が高まるものと思う。リーダー、サブリーダー共に経験豊富で教えていただくことも多くとても楽しい山行だった。H尾さん、S木さんに感謝である。また同行して一緒に歩いていただいた皆さんに感謝。

【蛇足】東大演習林のこと
東大演習林を使用するに当たっては、利用規則を確認し、東京大学愛知演習林利用申込書を提出した上、許可を得た上で使用しなければならない。詳しくはこのURLをご参照あれ。

http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/aichi/riyou2008.htm


【さらに蛇足】
知り合いにバイク(自転車)マニアがいる。海上の森から東大演習林にかけてよく走るそうである。普通の登山者にとっては、うっとうしい存在である。これにも気をつけなければならない。