御池岳・鈴北岳
− 紅葉を愛でる −
富田(征)

日:02年11月2日

 2、3日前から大寒波襲来の予報が出ていた。天気図は完全な冬型である。
1000m以上の高山は雪が降ると予報している。
Hさんの計画書は怠りなく冬山装備がチェックされています。
家を5時に出ました。寒さこの上なしである。

 ・ 寒風に出るにいくばくかの決意

 HさんもSさんも冬合宿に参加される。1日(前夜発)〜3日まで硫黄岳に合宿のメンバーは下見とトレーニングを兼ねて入山している。
ご両人は諸般の事情があって御池岳・鈴北岳をトレーニングに変えた。

 Hさんは鈴鹿の山に良く入られる。道も熟知している。途中彼のお奨めの珈琲店に入り眠気をさます。朝の珈琲は旨い。

 ・ 旅立ちの珈琲のかほり秋の朝

 鈴鹿連邦が見える頃、素晴らしい冬の虹が架かっている。それが何箇所かです。こんな虹の情景は初めて見ました。冷えた霧に朝の太陽が当たり特殊の現象でしょうか。自然のまさに造形美です。しばし車中で感嘆のため息です。

 ・ 山と里結ぶ紫冬の虹 (冬の色彩を紫色と表します)
 ・ 冬の虹幾重もかかる鈴鹿山


 いよいよ登山人です。

 ・ 急坂を登る靴音冬隣

 直ぐに時雨てきました。雨具を全員着込みます。しかし時雨はじき止みました。霙(みぞれ)にかわり、雪になります。しかし時々止むと紅葉がまさに真っ盛りです。鈴鹿の紅葉は美しいですね

 ・ 朴落葉激しく叩く朝の雨
 ・ 身構える程なく止みぬ初時雨
 ・ 御池岳踏み入るクヌギ落葉かな
 ・ かさかさと落葉踏み分け御池岳
 ・ 御在所にいつしか雪の降り初む


 御池岳の山頂はかなりの吹雪になりました。いいトレーニングができます。 11月の2日にこんなに雪の降った鈴鹿は初めてです。山頂は10cmは積もっています。足跡を注意して歩きます。特に滑らないためです。

 ・ 全山を隠して白き吹雪き舞う
 ・ 御池岳雪三寸と積もりける
 ・ 足跡を頼りに吹雪く中をゆく


  鈴北岳を通り下山に着きました。途中晴れ間が出ました。地が白い上の紅葉は素晴らしいです。鶯の声をわずかに聞きました。冬に鶯は笹鳴きと言います。 つり橋というか、梯子というか一箇所神経を使う箇所があります。

 ・ 白きもの受けて紅葉さらに映え
 ・ 笹鳴きの辺り伺う如く鳴く
 ・ 吊橋の友が手を振る紅葉狩り


 兎も角楽しい山行でした。木枯らし、虹、時雨、霙、雪、吹雪、紅葉こんなに自然を満喫したことはありません。

 私は木枯らしの句で特に好きな句があります。山口誓子の

 ・ 海に出て木枯らし帰るところなし
 ・ 木枯らしの吹くころ誓子追憶す


 自宅の近くの信号で寒さが厳しくなりました。冬の食卓は鍋にかぎります。

 ・ 木枯らしや信号待ちの襟を立て
 ・ 一合を楽しむ熱きふくと汁
 (河豚鍋のことです)
以上