*大峯春合宿からの延長登山
吉野山山行を思い立ったのは、昨秋「山上ヶ岳」に登った折のことである。洞川からの参詣道の洞辻茶屋で、吉野山からの旧?参詣道が合流していた。旧参詣道は世界遺産・大峯奥駈道〈修験道〉に指定されており、吉野はその起点であり来春、花見をかねて登りたいと思っていた山である。
吉野は政争や文人関連の遺跡も多のいので、山中で一泊することにした。
同行は山上ヶ岳と同じS君。
*まず最高点にアタック
明日の予報は雨模様。名古屋を6:30に出発して、9:30吉野駅に到着。
吉野山最高点、青根ガ峰までの標高差は650m、車、バス、ケーブルが通じているが、もちろん歩いて登る。花見は別にして、まず最高点まで行き、下山は投宿までの時間で、ルートを調整することにした。
名物柿の葉すし弁当を味わったりして、13:20青根ガ峰(857.9)に着く。三角点はあるが展望も悪くひなびた場所である。すぐ下にある奥駈道との分岐には、古い女人結界碑があった。昭和45年までは、これより先は女人禁制だったところである。
わずかの時間で4組の登山者に出会ったが、男女4人ずつの構成であった。
*奥千本最大の花の名所
下山に時間的な余裕があり、吉野山最奥部にある西行庵を訪ねる。スギ木立の山道をでると、沢岸に見事なサクラの花が咲き、庵の前は花見の客で大賑わい。私はできれば花の時を外して、ここを訪れたい気がした。
奥駈道の名所旧跡などを楽しみ、最後に竹林院の名園で枝垂桜の落花をじっくり観賞し、隣の宿坊・喜蔵院に投宿した。
*花見アラカルト
吉野の花の名所は、下千本、中千本、上千本までの地区だと思う。その上には商店もない。私達が行った日(4/19)には、店仕舞いした所や昨日までは素晴しかったという話しをよく聞いた。しかし私たちの目には、とても筆舌に尽くしがたいようなサクラの花が、是でもか是でもかと各地に点在している様に思えた。
吉野山の奥駈道?は、尾根道をかなりの傾斜で直線的に登っているような地形になっている。所々に展望の良い地点があり、上も下も全山が一望でき、空間的なサクラの風景もすばらしい。中でも秀吉の花見に縁のあった吉水神社の「一目千本」の案内板から見た遠望は秀逸であった。
利休作庭の竹林院群芳園での夕暮れ時、枝垂桜の池泉への落花は、今回もっとも印象に残った花見である。〈入園料300円〉
千年の歴史をもつ吉野山の花見は、確かに芸術品だと思った。
*宿坊「櫻雲園・喜蔵院」に泊まる
山上ヶ岳に登ったとき、5軒の大きな宿坊があり驚いた。奇遇というか、そのうち4軒が吉野山の大峯山護持院であり、奥駈修行を行じ、宿坊も営んでいる。いずれも名所案内に記載されている。当院、竹林院、櫻本坊はゆっくり観賞できたが、東南院だけは残念ながら見逃してしまった。
ガイドブックで安い所を選び決めた宿坊であるが、広々した本格建築の部屋でゆったり泊まることができ大満足。(一泊二食税別12千円)
*仏像鑑賞の手ほどき
S君から時々、お寺と神社の違いについて聞かされていた。お寺は手の込んだ仏像があり、装飾具も多く、それを祭る建物は豪華である。神社は全てが反対で「芸術的な」観賞価値は少ない。ここまでは私も同感。S君は旅好きで、各地の神社仏閣を見る機会も多く、拝観の折に必要な仏像の見方の基本的知識を学び始めていたようである。
二日目は、名所旧跡を見学しながら下れば良い。すぐ隣の櫻本坊に入る。ここは仏像が多い。S君から仏像の見方の基本的な手ほどきを受けた。説明を受けると、基本的なことが少しでも分かると、拝観もグッと興味が出てくるような気がした。以下、各所で国宝や重要文化財を前に、いろいろ教えていただき楽しかったが、残念ながらほとんど頭に残っていない。
帰宅後さっそく、S君愛用の「仏像がよくわかる本」(PHP文庫)を発注した。
*熊野古道
熊野古道は以前から感覚的なものとして興味はもっていた。2001.9月高野山の労山ハイキング集会に参加し、宇江敏勝氏の講演を聞き熊野古道の全体像と現状が理解できた。古道は04年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された。
私は古道自体を歩く興味はなかったが、主要霊場については別表のような経過で、巡り終えることができた。この間、あつたの皆さんには大変お世話になり、ありがとうございました。今後は、バスハイクで手軽に行ける吉野山へ、時々家内と出かけたいと願っている。
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