黒戸尾根~甲斐駒ヶ岳~

山域:南アルプス

日程:10月12-13日

メンバー:S.I,R.I

10月の三連休を利用して、日本三大急登のひとつ黒戸尾根を登ってきました。

長くてキツくて、それでも登った後にはなんとも言えない達成感のある山行。

良かったら参考にしてみてください。

尾白川渓谷から

前日の金曜日の夜に名古屋を出発し、尾白川渓谷駐車場で仮眠を取りました。

深夜1時過ぎに駐車場に到着してみれば、それなりの数の車が駐車をしており、テントを張って宴会をしているグループもありましたが、深夜はなるべくしっぽりと静かに宴会をして欲しいものです。

歩き始めて3時間、やっと二合目

今回はルートが長く、初日は小屋までのコースタイム7時間。

ここ最近キツめの山行をしていなかった2人は歩き始める前からビビリ散らかしていたので、いつもよりもペースを落として休憩時にはストレッチを入れたりして体調を整えながら歩きました。

歩き始めて3時間・・・やっと、二合目です。

長いっ!

ナイフリッジ状の岩、刃渡り

三合目を過ぎると、有名なナイフリッジ状の岩場「刃渡り」が現れます。

ロープが張ってあり、足場もちゃんとあるので安心してあるけますが、片面はロープが張っておらず崖になって切れているのでそちら側を見下ろすとお尻がゾワゾワっとします。

崖側に吸い込まれないように、気を付けて歩きました。

刃渡りが終わると、ハシゴがちょっと嫌になるくらい連続します。

四合目と五合目間は下る

連続したハシゴを登りきると、四合目の刀利天です。

ここまで狭くて気が抜けないハシゴの連続だったので、休憩を入れて後半に備えました。

四合目から五合目の間は「今まで登った分は一体何だった?」っていうくらい結構下ります。

五合目から一つの山が始まる

四合目からしっかりと下ると、五合目の「小屋跡」に到着しました。

ネットで調べると昔はここに小屋が建っていたようですが、現在は跡形もありませんでした。

景色を見渡せば、目の前に山と山がそびえてます。

奥の雲がかかっている山は甲斐駒ヶ岳山頂方面で、手前のひとつの山の山頂付近にはこの日宿泊予定の七丈小屋があります。

ここまで6時間くらい歩いて来たけど、ここからさらにひとつの山を登ります。

ここから先はハシゴ・クサリ場・岩場が嫌になるくらい連続します。

歩いてきて疲れた足にはかなり効いてくるので、足がつりやすい人は五合目で芍薬甘草湯を飲むといいと思います。

クサリ場と垂直のハシゴ

ハシゴとクサリ場・岩場の連続で六合目まで登ってくると、ハシゴ・クサリ場・岩場も後半となります。

垂直のハシゴはハシゴ自体が太いので、しっかりと握ることが出来ないのが恐怖感を感じます。

このクサリ場は写真では伝わりにくいですが、足置き場が高い位置にしかなく(私の腰よりも少し高い位置)、岩の向こう側に体を出して乗り込む形となります。

また、岩に乗り込もうにも手をかける場所も無く、クサリは少し離れた位置です。

体が左右に振られるクサリを掴むしかないので、黒戸尾根ではここが一番こわいなと私は感じました。

身長が高い人には特には問題ないと思います。

※写真で私が右手を乗せている場所が初手の足の置き場です。他の足場を探しましたが、R.Iさんもそこしか足がないのでクサリにぶら下がって登ってと言っていたのでここしかないのかと思います。写真は「え!うそでしょ!?」って言いながら、右足を乗せようとしている瞬間だったと思います。ちなみに下りではクサリにぶら下がりやすいので、比較的下りやすかったです。

七丈小屋

先ほどのクサリ場のあとにももう一つクサリ場が現れますが、そこは特に問題なく行けます。

このクサリ場が終われば小屋はもう近く。

歩き始めて約8時間、七丈小屋に到着しました。

七丈小屋は昔ながらの小さな山小屋ですが、小屋のスタッフさんは話してみるととても暖かい山小屋でした。

ちなみに小屋の裏にはテント場・山頂に続くハシゴがあり、次の日はいきなりハシゴ登りから始まるな・・・と小屋宿泊者はみんな苦笑い。

七丈小屋の夕食は、カレーライス・ハンバーグ・そうめんとわんぱくメニューで、次の日もシャリバテしないように考えられた(?)メニューでした。

Day2

2日目は4時30分ごろから歩き始めました。

次の日も天気が良く、朝から綺麗な景色を見ることが出来ました。

小屋から歩き始めて約1時間、八合目に到着しました。

ここから山頂まではひたすら岩場登りです。

下記の写真2枚は見ている位置が違うけど同じ場所の岩場写真です。

男性は簡単に登っているように見えますが、S.Iが岩場に立つと男性が乗せている右足の位置はS.Iの腰の位置にあるのが分かるでしょうか?

この男性は勢いを付けて岩に飛び乗っていました。

黒戸尾根の岩場はこのように男性が勢いを付けて飛び乗るような場所ばかりでした。

この後九合目にあるクサリの無いのっぺりとした滑りやすい岩場が出てくるのですが、岩場登りが下手なS.Iはかなり苦戦をしました。

R.Iさんに足の置き方・重心のかけ方の見本を何度か見せてもらい、なーんとかクリアできました。

ちなみに写真はありません。

2本の剣

九合目を過ぎると、天に向かって刺さっている2本の剣を見ることが出来ます。

甲斐駒ヶ岳

山頂手前には神社があります。

ここまで来れば、山頂までは5-10分ほどです。

このあとは5時間ほどかけて、無事に駐車場まで下山しました。

次の日はもれなく2人とも筋肉痛になりました。

まとめ

日本三大急登といわれている甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根に登りました。

三合目まではただただひたすらに樹林帯歩きが続き、三合目を過ぎるとナイフリッジ状の岩場とハシゴが連続し、五合目以降は岩場・クサリ場・ハシゴと体力と気力が求められるルートでした。

また、全体的に黒戸尾根の岩場は足場が高い位置にしかなかったり、クサリがあまりついていなかったりとするので、黒戸尾根に挑戦する前には何度かボルダリングジムで練習をした方がいいと思います。

あとルート内に水場が七丈小屋にしかないので、昨今の酷暑の夏場に挑戦をするのはかなり厳しいものとなりそうです。

とにかく距離が長いので、しっかりとトレーニングをしてから挑戦されるといいと思います。

余談

甲斐駒ヶ岳のあとに宿泊をさせて頂いた「アグリーブルむかわ」ですが、じつはこの宿は山岳ガイドであり登山家の花谷泰広さんが経営されている宿です。

宿には花谷さんが受賞したピオレドール賞のピッケルが飾られていました。