憧れの剱岳、大脱走ルンゼ(南面ダイレクトルンゼ)、山スキー

日程:2019年5月11日〜12日

山域:北アルプス

メンバー:服部(ぶなの会)、古田、石原(記)

「大脱走考えてます」

「あ、いいね」

「俺も誘ってよ〜」

白馬の居酒屋でゆるーく発足した大脱走計画。

名前に惹かれてノリで名乗りを上げたは良いものの、全容を調べてからは2ヶ月に渡って緊張でお腹の調子が悪かった。

岩と雪の殿堂剱岳。

剱御前小舎から見える南面を山頂から平蔵谷まで綺麗に貫く大脱走ルンゼ。

斜度は平均45度、最大50度と云われる綺麗なスティープクラシックライン。

ミスの許されないスティープライン。

滑るためにはコンディションが何よりも大切になる。正直ずっと週末はコンディション不良のままシーズンが終われば良いと思っていた、、、

GW後半、ふと翌週の天気予報を見ると週末は3日以上積雪が無く、快晴無風、気温も上がってフリージングラインは3000m over。来てしまった、この上ない最高なコンディション、、、

すぐに3人で話を合わせて、入山が決定しました。

スタートは室堂から。

1日目は昼頃にスタートして、のんびり剱御前小舎まで進みます。

やっぱり立山は綺麗ですね。

雷鳥沢を越して剱岳がお目見えです。

やっぱりぶったってる、、、

2年前、GWに剱岳を目指したものの、実力不足と威圧感に負けて挑戦すら出来なかった記憶が思い出されます。今回は登って滑るのか。

核心となるノド付近のクラックの様子をカメラで良く確認しておきます。

後は幕営地まで、重ーい雪を下って終了。

パパッと整地してテントを立てて水作り。

剱を眺めるステキなテン場。

のんびりしていたら、何と!以前野伏ヶ岳でご一緒した飯田さんが、わざわざここまで応援に駆けつけて来てくれました〜

正直この応援はめちゃくちゃ助かりました。お葬式の様になりそうだった雰囲気も明るくなり、楽しい一夜になりました!!

楽しい宴会に気も紛れ、夜は熟睡。。。

早朝。2:30に起きて、4時スタートです。

飯田さんに見送られて、先ずはカリカリの劔沢を平蔵谷まで落としていきます。

硬いものの、先日の金山沢を思えば下りやすくあっという間に出合いまで

ここで、シールや諸々をデポしてシートラ開始です!!

平蔵谷はデブリで覆われていて、帰りが思いやられましたが、登りに関しては程よくステップにもなり登りやすい斜面でした。何より雪が締まっていて歩きやすい!!

顕著なピナクルが右手に現れると、インディアンクーロワールの入口。

大脱走ルンゼの出口も見て、状態を確認します。うん、行けそうだ。

ここでストックから、ピッケルとウィペットの二本持ちにして最終アタックへ

インディアンクーロワールは、日陰なのもあり、しっかりと締まった登りやすい斜面。アイゼンを効かせながらあっという間にコルまで到達。

順調なペースです!

ここからが登りの核心部。

ピッチグレードⅢ級−くらいな岩と雪壁を日射で緩んだ雪と大格闘!!

その後は踏み抜き地獄な尾根をゆっくり上げます。

最後は傾斜が緩み、、、

無事登頂!!!

私石原は、剱岳へ初めての登頂だったので感動も一入です!!

はるか北方稜線や、泊まった劔沢、

思い思いに絶景を収めます!

古田君はレッドブルのライダー宜しく、エナジードリンクをチャージして、滑走準備を整えます。

最後にリグループの打ち合わせをして、いざドロップ!!

頂上からノールを越えると50度近い急斜面、緊張のワンターン目をキメると、しっかり緩んで走る最高なザラメに勝利を確信!

源次郎尾根の登路に沿って行くと、ノドまでは40〜45度の快適な急斜面!

余りにも気持ちのいいロケーションと雪質に、雄叫びを上げながら、スラフにだけ注意して、ターンを刻んでいきます。

この日は本当に最高な雪質で、転んでも何とか止まりそうだなという雰囲気にプレッシャーを感じ過ぎることなく滑り込むことが出来ました。

そして、核心のノド部。

写真を撮る余裕は0でした。

スラフに削られた縦溝と、クラックに注意しながら慎重に横滑り。

ここも雪質が良かったのと、クラックがギリギリ繋がりきっていなかったのでロープも使うことなくスキーでクリア!

無事、全員転倒することなく、楽しんで、大脱走完了です!!!

雪質や、量は申し分なかったものの、上部に隠れたクラックがあったり、ノドのクラックが広がっていたりと今シーズン快適に滑れるのはこれでラストかなって感じでした!

ここからはデブリに覆われた平蔵谷をクラックに注意しながら下って、後は劔沢登るだけ。

のんびり歩いて行きますが、実はここから獲得標高1000mオーバー(半分はテント装備担いで)というハードな帰路です、、、

バテバテになりながらも、雷鳥沢を快適に滑って、最後の室堂への登りもこなして、無事帰還!!!

駆け抜けた今シーズンの山スキーを締めくくるのに相応しい、ミスもなく、気力、体力を出し切った最高な山行でした!!

こんなチャレンジができたのも、リーダーをしてくれた服部さんの力に寄るところがかなりあったので、今後、自分たちの力だけでもチャレンジ出来るように山力を高めていきたいです!

追記(2019.05.16)
こんにちは、古田です。
ここからは備忘録的にルートについて記録を残しておきます!

5/11(Sat)
12:15 室堂
12:25 雷鳥沢キャンプ場
13:55 剱御前小屋
14:35 剱澤キャンプ場(泊)

5/12(Sun)
4:15 剱澤キャンプ場
4:26 平蔵谷出合い
7:00 インディアンクロワール取り付き
7:40 源次郎尾根
8:40 剱岳山頂
9:15 大脱走ルンゼエントリー
9:48 大脱走ルンゼ出合い
10:10  平蔵谷出会い
12:00   剱澤キャンプ場
14:00 劔御前小屋
16:10 室堂

平蔵谷出合いから剱岳本峰までのトラックが以下です。
登り:青(平蔵谷出合い~平蔵谷~インディアンクロワール~源次郎尾根~剱岳)
滑り:赤(剱岳~大脱走ルンゼ~平蔵谷~平蔵谷出合い) 

剱御前小屋から剱岳全景でのルートです。

インディアンクロワール取りつき点からのルート概要。

計画が立ってから大脱走ルンゼについていくつか調べてみたのですが、なかなかルートが分かりにくかったので、まとめてみました。
今後行かれる方の一助になればと思います。

最後に、自分は会に入る前に富山で山スキーを覚えました。
北海道、東北、乗鞍、白馬、いくつかの山を滑ってきましたが、やはり立山、劔山域での山スキーについては思い入れがあります。
特に剱岳については(いい意味でも悪い意味でも)思い入れがあり、その山を滑るということは自信の一つの目標となっていました。
大脱走ルンゼ、RSSA 加藤雅昭氏によって初滑降されて以来、剱岳で最も有名なスティープライン。
このラインを滑ることは自信の山スキー人生で一つの目標でした。
メンバーの協力のおかげでこのラインを滑ってしまった今、うれしい反面、目標が一つクリアされてしまい寂しい気持ちもあります。
今回の山行でいくつか課題も見えたので、それらをクリアできたら次は五竜岳武田菱、日本オートルート、黒部横断なんかにもチャレンジしてみたいですね!

引用
山スキー百山 山と渓谷社

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