『救える命を救いたい』第17回遭難を考える会 〜低体温症〜
突然死のリスクに続いて、
寒い時期関連で、低体温症のお話が続きました。
今回のお話では・・
☆重症度別の対処・処置方法
☆保温のラッピング方法
重症度別の表や、ラッピングに使う用具などは
大城先生のHP「山岳医療情報」で確認できます
ただ、海外の医療文献を扱っていらっしゃるので
ガイドラインを読んで、ご理解の上閲覧して下さい(^ー^)
まず重症度別の対処方法です
大城先生のHPですと、「山岳医療情報」→「低体温症 図説」
重症度分類の表を見ながらだと、分かりやすいかもしれません。
低体温症の症状の特徴として
1、震え
2、意識
3、脈と呼吸
4、失調
があるそうです
震えがあれば、低体温症か、なりかけだと判断すると早い対応ができるようです。
震えが活発であるか?または弱いのか?ないのか??で
軽度から中度の区別をします
震えは、重度に移行するにつれて弱くなり
最終的には震えがなくなります。
ですので、震えが活発である場合は軽度の状態。
現場でのリカバリーが可能です
震えが弱かったりない場合は、中度以上の対応となります。
今回は、現場での早期の対応でリカバリーが可能な例の
対応策などの話がありました。
軽度の場合は、熱を作り出して体温回復が可能だそうです。
ある程度保温し、エネルギー補給をしたら
状態をみて、一緒に下山することも可能です。
体温回復の方法は・・
☆カロリー補給
震えて熱を作り出すことに、体中のエネルギーと使います。
それが尽きてしまうと、震えることが出来なくなてしまいます。
意識がしっかりして、食べられるようであれば
その尽きてしまったエネルギーを補給するために食べてもらいます。
ムセることがなければ、暖かいモノを飲んでもらいます。
☆隔離
衣類が濡れているようであれば、着替える。
風雨や雪・水を避けれる状況を作ります
地面に敷物などをして、
接地している身体の一部から熱が奪われるのを防ぎます。
☆保温
衣類を強化する、寝袋やツエルトを活用する
帽子や手袋をする
頭部や首などから熱が逃げていきます
後に書く、ラッピング方法もこれに含まれます^^
☆加温
深部体温・・身体の中心・コアな部分の体温でしょうか
の低下を止める処置を試みます
ホッカイロや、熱湯を入れたプラティパスなどで
胸・お腹・背中などの体幹より温めていきます
接触面積が大きいほど、保温が進みます。
腕や足など、末端からは控えます。
大城先生は、北海道警察山岳遭難アドバイザーとして活動されています。
そこで起きた事例や、レスキューの対応や様子など。
「この場合はどうですかね?
みなさんでしたら、どうされますか??」などの問いに対して
挙手をしたりしながら、話はすすんでいきました。
次に、低体温症時の保温ラッピング方法です。
北海道警察山岳遭難救助隊で、実際に使用されている方法だそうです。
大城先生のHPですと、「山岳医療情報」 → 「低体温症ラッピング」です
外側から・・
★全体を包むための大きめのシート
・ブルーシート
・3〜4人用のツエルト など
運搬用にはこれとは別にツエルトなどがあると、ベストだそうです。
★次にエアマット
隔温効果と、移動時のクッション性が増します。
★次に寝袋
傷病者が入るものと・・数枚あれば上下にも
エアマットと寝袋の間に、テントシートやアルミシートがあるほ保温性が増します。
★次に数枚あれば、左右からまたマット。
★体幹の加温のために、プラティパスに熱湯を入れて腹部〜胸に置きます。
★最期に、キャンディー状に外側のシートをロールアップし
両サイドから風などが入らないように密閉します。
この密閉作業が、かなり重要なようでした。
これをおろそかにすると、結局隙間より熱が逃げてしまいます。
この密閉の方法も、色々と試して比べられたそうです。
画像がないと、ちょっと分かりづらいですね(^^;
去年の登山医学会でのファーストエイド講習会の画像で確認してみます
イメージ的には、こんな感じで重ねていきます。
講習時は、メンバーの所持品のみで作成するので・・
ちょっと不足分や代用品が混ざってしまいます(^^;
シュラフやマット等を除いていますが、こんなイメージで人を包んでいきます。
重要なキャンディー状にした後での、両サイド処理です。
がっちり!!!
という感じの、ラッピング方法でした。
あまり上手くお伝え出来ませんが、ほんの表面的な部分です。
実際には、一つひとつの細かい作業に深い意味が隠されています。
大城先生も、遭難対策時のファーストエイドは、
「すごく難しい技術を、すごくシンプルにしている。」 とおっしゃっていました。
現場での経験は、本当にとても大切です。
しかし、こういった知識として学び〜
知っている状態で登山に取り組むのと、知らずにするのとでは
危険な状態で判断を求められた時などに現れたり・・
そういった状況ではなくても、より深く山とともにあることを考えることが出来て、
登山を楽しめそうですね。
というわけで
私も、来年はなんとか時間を作って山に行きたいと思っています(^^;