教育山行 ビバークトレーニング

日程:2023年9月23日
山名:大日ヶ岳
山域:両白山地
メンバー:CL/M.K.
SL/Y.S.
講師/R.I. Y.S.
生徒/D.K.(記)

今回の教育山行は、遭難したと仮定して、ツェルトで一泊してみようということで日帰り装備で大日ヶ岳へいってきました。
教育山行なのに、講師4人、生徒1人ってどういう事?と思いながら山行スタートです。

のんびりとした山歩き

とても歩きやすい登山道

昨日までの気温とうってかわって今日はとても涼しく、天気も良くて、気持ちの良い日になりました。
ここ最近ハードな山行が続いていたので、久しぶりにのんびりとした山歩きが心地よいです。

そうはいっても、昨日雨が降ったのか地面が湿っていて、石や木の根っこが滑りやすくなっており、注意して登っていきます。

テント張るにはいい場所だ

いくつかの胸突き八丁をこえて、一ぷく平に出ました。
きっとここでビバークするんだろうな・・・なんて思いながら一息入れます。

天気も良く眺めも最高

一時間ほどあるいて展望台に着きました。ひるがの高原がよく見渡せます。
ここで少し長めの休憩をとります。
山頂まではあと一息。

遭難シミュレーション

展望台から30分で大日ヶ岳山頂に到着しました。
でも今日はピークハントが目的ではないので、いまいち達成感が沸きません。

ここからは、各々の遭難を想定した茶番劇が始まります。

心地の良いふかふかの寝床

そんな中、元気に登っていたメンバー2名がお昼寝を始めてしまいました。
ここ最近の山行の疲れが取れていないのか、日々の仕事の疲れがたまっているのか気持ちよさそうに眠っています。
そんな2人を微笑ましく見ていた他のメンバーも少し眠らせてあげようと思い、各々山頂での時間を楽しみました。

2人が目を覚ますのを待って次のピーク、鎌ヶ峰を目指します。
この時点ですでに12時を回っており、本来であれば下山を開始しなければいけない時間ですが、鎌ヶ峰まですぐそこということで、このまま強行します。

峰づたいの細い登山道

大日ヶ岳から鎌ヶ峰までの道は、今までとはガラッと変わって結構な急斜面や、細い尾根道があって、気を遣う登山道でした。

鎌ヶ峰に到着です。
とりあえず今日の最終目的地には到着しました。

ところが、この先のピーク水後山にも行こうかと1人が言い出しました。
もうすぐ14時になろうとしています。さすがに無理ではないか、時間の計算を間違えていないかとリーダーに訴えます。
いやいや、山頂で昼寝なんかするからだろ、そもそも大日ヶ岳で引き返すべきじゃなかったのか、など少し不穏な空気が流れます。
しばらく考えた後、リーダーが下山することを決断しました。

大日ヶ岳まで戻ってきました。
この時点で15時を回っています。日が暮れる前に早く下山したいところですが、メンバー2人が足の痛みを訴えてきました。
このままだとコースタイム通りには歩けない、日が暮れてしまう、
パーティーを2つに分けて1パーティーだけでも下山すべきじゃないのか、そもそも計画に無理があったのではないのか、遭難するんじゃないのか、
またリーダーが責められます。
リーダーは、全員で行けるところまで下山しようと決断しました。
今日のリーダーは大変です。

寒く長い夜

一ぷく平まで下ってきたところで、とうとうメンバー2人が歩けなくなってしまいました。
もうすぐ日没ということもあり、暗闇を無理して下山するよりは、明るいうちにツェルトを張ってビバークをし、一夜を明かそうということになってしまいました。

と、ここまではビバークするまでの茶番劇でしたが、ここからは皆が未体験のホントのビバークです。

皆さん手慣れたものです


今年の春にツェルトの設営訓練を受けていたので、皆スムーズにツェルトの設営を終わらせました。
ツェルト泊の経験のあるメンバーはいましたが、ビバークを体験したことのあるメンバーは1人もいません。
日帰り装備ですので、当然シュラフ、マットなどテント泊装備のない状態での訓練となります。

まずは皆でお酒とつまみを出し合って宴会スタート水と非常食を出し合ってささやかな夕食を取りました。

ツェルトとエマージェンシーシート


この後それぞれツェルトで寝ることになるのですが、先輩の皆さんは、真夏でも薄手のフリースか、ダウンジャケット、使い捨てカイロを持ち歩いているそうですが、私はペラペラのウインドジャケットしかなく、それとレインウェアを着込み、エマージェンシーシートを掛けて寝ることとなりました。

意外と寝つきがよく、早いうちに眠りにつくことができたのですが、夜中に寒くて目が覚めてしまいました。
気温は15℃を下回ろうとしていました。エマージェンシーシートの内側は結露で結構濡れていましたが、レインウェアのおかげで体は濡れることはなく、それが原因で寒いということはありませんでしたが、足からくる冷えがとても辛く、なかなか眠ることができませんでした。
ビバークで大切なことは、いかに睡眠をとって体力を回復させるかにかかっているのだそうです。

しばらく眠れずに、寒さに耐えていたのですが、ツェルトに入る前に私の装備を見かねたリーダーが使い捨てカイロをくれたのを思い出しました。

そして、それを使って暖を取っているうちに眠りにつくことができたようです。

新しい朝

少し明るくなってきて、皆が起き始めます。
皆が無事朝を迎えることができました。

当然朝食なんてないので、お湯を沸かし、温かい飲み物を飲んで一息ついてから撤収して6時頃に下山開始しました。

いつもは登りだす時間だな

こんなに早い時間に下山するのは初めてです。早い時間から登ってきた他の登山者の方たちにも驚かれます。

「もう登ってこられたのですか?! 早いですね!」

「いえ、私たち遭難してビバークしてたんです。」 「登山道はここで合っていますか?」

「!!! えっ?」

「冗談です、ビバーク訓練をしてきました。」

「そうですか、すごいですねー」

なんて会話を楽しみながら下山しました。

無事下山できました

無事下山し、駐車場でIさんこだわりの車の中で寝かせたドリップコーヒーを頂き、山行終了となりました。

まとめ

今回は訓練ということで、やや緊張感のかけるビバークとなりましたが、貴重な体験ができ、良い経験になったと思います。 
道迷い、転倒、滑落などが遭難の原因としてあげられますが、今回は、無理な山行計画、目的を優先した強行山行、仲間割れ、責任転嫁などを想定して遭難してみました。逆に言うと、余裕を持った山行計画、安全を優先した山行、仲間との良い信頼関係、各自が責任を持った行動ができてこそ、こういった訓練ができるのだとも感じました。
この先この訓練を活かす場面に出くわさないことを願うばかりですが、万が一の時には今回の経験を活かせればと思います。

講師の皆様ありがとうございました。リーダーのKさん使い捨てカイロありがとうございました。この後装備の見直しをしたいと思います。