晩秋のイブネ〜鈴鹿を愛したトシさんを偲んで

日程:2019/11/23
山域:鈴鹿
山名:イブネ(1,160m)
メンバー:CL/NM(記)、YE、YW、KM

名残の紅葉が見たくて、イブネに行って来ました。
イブネに行くにはいろんなコースがありますが、今回は朝明駐車場から根の平峠、コクイ谷出合、杉峠と歩くコース。コースタイムだけで8時間以上のロングコースです。

日照時間の短いこの時期、まだほの暗い朝明駐車場を6時に出発しました。

伊勢谷小屋の前の橋を渡ります。

ここから旧千種街道の始まりです。
根の平峠、杉峠を越え、滋賀県側の甲津畑まで続きます。
途中に御池鉱山跡もあり、かつては多くの人たちに歩かれた街道です。

砂防ダムをいくつも越えて行きます。

わたしが鈴鹿を歩き始めた10数年前には、こんなに標識は整備されていなかったと思います。
今はありがたいですね。この坂を登れば根の平峠。

根の平峠からは、釈迦が岳、御在所、愛知川と道を分けます。
ここには杉峠とは書いてありませんが、愛知川に向かうのが正解です。

根の平峠のシンボルの岩(と、わたしは勝手に思っている)には、「上水晶」と書かれています。帰りも同じ道を戻って来るので目印になります。

根の平峠からコクイ谷出合までは、落ち葉で道がわかりづらかったり、何度も小さな渡渉を繰り返したりするので、地図を確かめ、テープや標識を見落とさないように進みます。

渡渉して対岸に渡ると、少し道が荒れていているので巻道に行きます。

この辺りの紅葉はほとんど終わっていましたが、たまにこんなきれいな木も残っていました。

鉱山跡に着きました。ここにかつては300人余りの人が住んでいたんだなぁと、今も残る石垣や住居跡を眺めながら歩きます。
この辺りからショートカットでイブネに向かう道もあるようですが、今回は杉峠経由で向かいます。

杉峠に到着。初めてここに来た時は、まだりっぱな杉の木でしたがすっかり枯れ果てています。
この日は甲津畑からの団体、武平峠から雨乞岳を越えてイブネは向かう人たちでけっこう賑わっていました。

イブネに向う途中、佐目峠のお尻岩。何度見ても笑えます。

佐目峠を過ぎればイブネは近いです。タイジョウへの分岐を過ぎて、さあもうひと登り。

イブネに到着!ここまで約5時間かかりましたが、頑張って歩いたご褒美はこの景色!!

それにしても、このモフモフ。
この山頂がかつては背丈ほどの笹で覆われていたなんて想像もできません。

この日はイブネ北端まで行って引き返しました。クラシはまた、シャクナゲの咲く頃にでも。

のんびり景色を眺めたいところですが、帰り道も長いのでそろそろ帰ります。

何度も渡渉を繰り返し、道がわかりづらいところは皆で確かめながら歩きました。

行きの時とは光線の加減が違うのか、青空に名残の紅葉がきれいに映えていました。

朝6時過ぎから歩き始めて、駐車場に戻ったのは16時ちょっと前。何とか明るいうちに帰ることができました。

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今回、イブネに行きたいと計画したのは、トシさんの訃報を聞いたからです。
わたしがあつた労山に入ったばかりの頃、山のことなど何も知らず、ろくに地図も読めなかった新人を、トシさんはじめ周りの先輩方はよく鈴鹿に連れて行ってくれました。
今ほど鈴鹿は標識も整備されておらず、特にイブネのような鈴鹿の奥地は、地図とコンパス、あとは地形を読む力がないと歩けない山でした。
そんな鈴鹿を自由自在に歩き回るトシさんは、新人から見たら憧れの先輩でした。

また、文章がうまく、ご自身で写した写真と共に山行記にまとめ、2003年頃から2010年くらいまではよくあつたHPに投稿して下さいました。
T.Yamadaの署名がある記事はトシさんのもので、今もそれを読めばトシさんがどんなに鈴鹿が好きで、よく歩いていたかということがわかります。

山の話をする時のトシさんの、少年のような笑顔は本当に素敵でした。
心よりご冥福をお祈りするとともに、トシさんの愛した鈴鹿の山をこれからも歩いて行こうと思います。

「イブネ・クラシ ササ枯れ調査5年経過報告」山田敏文
https://atsuta-rozan.net/files/sankoki/sasagare/sasagare.html

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