危険箇所通過訓練 ~僕たちはザックに夢と希望とレンガを詰めた~

日程:6月25日(日)日帰り
山名:御在所岳(1211.95m)
山域:鈴鹿
メンバー
CL/Y.S. 講師/A.M. 講師/K.Y. K.N. S.I. Y.H. D.K. H.K.(記)

今回の教育部山行のテーマはロープワークと危険箇所の通過方法ということで、講師3名に生徒5名というとても贅沢な山行を楽しんできました。
沢合宿を控えたK.N.さん、D.K.さん、と私(記)には 12kg+飲み水&食料のボッカが義務付けられ、この日のボッカキングはまさかの*レンガを詰めたパック17kgで挑んだK.N.さんとなりました。また、別の合宿を控えるS.I.さんとY.H.さんも自主的なボッカで挑まれました。

*良い子の皆さんは、水を詰めましょうね!?

御在所裏登山口付近に駐車し出発!!

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重い・・・

合宿では当然泊りの装備を背負って歩くので、最低でも16㎏は背負って山行が行えるようにならなければいけないのですが・・・(記)はボッカトレーニングをするたびに、いや日帰りでも十分楽しいし…という誘惑が頭の中で渦巻き、負けそうになります。

それでも前を弱音一つ吐かず、黙々17㎏を担いで登られているK.N.さんや、同じくボッカされている先輩の皆さんの大粒の汗を見れば、出来るところまでやってみよう、という勇気が湧いてくるのです。

藤内小屋に到着したときの喜びといったら!ここまで大した距離はないのですが、重い荷物を背負うことに慣れていない私は、冷たい水を浴びて一休みできることが嬉しくてしようがありませんでした。

藤内沢への分岐手前で、訓練のためにスリングを使い簡易ハーネスを作り、カラビナ類をセットしました。

いざ!憧れの藤内壁へ!!

遠くにバットレスと呼ばれる壁が見えてきました。御在所は何度か来たことがありますが、(記)は藤内壁へ向かうルートは初めてです。遠くからあこがれとともに眺めるだけだった壁がどんどんと近づいてくるのは感慨無量で荷物の重さも忘れてしまいました。S.I.さんとY.H.さんも同じように特別な思いを胸に藤内壁への道を登られていたそうです。

ちなみにバットレスとは壁を支えるために壁から突き出た建築構造のことで、有名なのはゴシック様式の教会にみられるフライングバットレスです。そういわれてみるとなんだかあの岩もヨーロッパの教会みたいに見えてきませんか?

ここでロープワークと、重い荷物を背負っての岩場通過に慣れるため、ロープを張りました。

プルージックで安全を確保し、位置をずらしながら登っていきます。

途中でカラビナをかけ替える練習もしました。

軽やかな動きで通過され、今日が初めてとは思えない!と講師陣をうならせたのはY.H.さん。以前は屋内の壁は登りたいけど、岩のクライミングは怖い!とおっしゃっていたのに登り終えられるや一言「楽しい!」

ロープの片づけ方を練習するK.N.さん。
この後は予定を変更し、バットレスまで向かうことに。

中国の山水画のような景色に見入るK.N.さん。17㎏を背負いここまで来たK.N.さんの瞳には、写真には決して写らない、特別な景色が映っているにちがいない。

とうとうバットレスにたどり着きました。

いつかあそこでクライミングをしてみたい!と心に思うだけで、いつも遠くから眺めるだけだった御在所の藤内壁。その憧れの地に今立っている。ボッカしてここまで来て、今日は登らないにせよ、感無量です。

同じく沢チームで、ボッカの義務を課せられたD.K.さん。その瞳には、写真には決して写らない特別な景色が…(略)

ここではプルージックで安全を確保しながら登り、途中からはカラビナを使い横に移動する訓練をしました。足場の不安定な場所でも落ち着いて作業できるように繰り返し練習します。

遠くに見えるあの岩はモンキーフェイスと呼ばれています。彼方をじっと見つめるその思慮深そうな姿はまるで森の賢者…この岩を猿の顔と思うのはきっと僕たち人間だけではなく、この地域に住む猿たちも同じではないでしょうか。
彼らがいったいどんな思いとともに、この岩を見つめるのか・・・
ひょっとしたらこの岩を見ながら子供たちに、「昔々・・・」なんておとぎ話をしているのかもしれませんね。

練習を終え、藤内壁から下りる途中の沢の水でリフレッシュ!

急な下りには苦戦を強いられます。

藤内小屋に戻って来ました。同じくこの日御在所で練習されていた登山学校の皆さんともここでご挨拶ができました。

お疲れさまでした!

皆さん重い荷物を背負い、一日お疲れさまでした。講師陣の皆様、丁寧で熱心なご指導ありがとうございました。普通の山行ではなかなか出来ない練習を反復して行うことができ、とても濃い一日となりました。僕も含め参加された方、一人一人が今後の自分の課題を見つけることができたことと思います。まだまだ、技術、体力ともに向上していかないといけませんが、この仲間と一緒ならきっと出来る、そう感じさせてくれるとても貴重な1日となりました。皆様今後ともどうぞよろしくお願いしますm(__)m